就職で必ず問題になる「入社後のミスマッチ」。企業にとっても学生にとっても避けたいものですよね。今回はエントリー後の流れを具体的に聞きながら、採用側の目線を深掘り調査。エントリー前にぜひご一読ください!

小林 和晃(Kobayashi Kazuaki)
取締役専務/採用責任者。高校卒業後、大工としてキャリアをスタート。創業者である社長と共にサンリーホームを牽引。

成功エピソードに縛られず、本物の「行動」を伝えてほしい!

――最初に、エントリーの流れについて教えてください。エントリーシート(以下E S)が通過したら、その後は何か提出するものがありますか?

小林専務:面接の際に履歴書(中途採用の場合は経歴書)を提出してもらいます。提出物はそれだけですね。

――履歴書や経歴書に記載する内容で、何か特別必要な情報はありますか?

小林専務:一般的な履歴書、経歴書の内容で問題ありません。

履歴書や経歴書及びその他書類にE Sで記載していただいた志望動機を記載していただければOKです。

――ありがとうございます。書面でアピールする機会はE Sが中心になってくるということですね。ではE Sの中身について具体的にお聞きしたいのですが、E Sの設問に「これまでにしたチャレンジ体験について」書く欄があります。ここはどういうポイントを重視して読まれていますか?

小林専務:まず、そのチャレンジの取り組みが大きいか小さいかは全く気にしておりません。あくまでも、ちゃんと挑戦できる人材か、当社の「挑戦する社風」とマッチしているかどうかだけを見ています。

――みなさんどんなことを書いてこられるんですか?

小林専務:たとえば、自分がこういうプロジェクトを立ち上げて、自分で取り組んで、どういう結果が出たかまで書く人もいれば、地域のコミュニティのボランティア活動に積極的に参加したことを挑戦として書く人もいるし、本当に様々ですよ。でも「この人がこんなふうに行動した」ということ、要は「実」の部分が大事です。やらずに喋るだけなら誰でもできます。テレビのコメンテーターと同じです。ちゃんと「こんなことをイメージして、こう行動した」の部分さえ書けていれば、あとはご自身の体験を素直にそのまま書いていただければどんなことでもO Kです。

――チャレンジした結果、成功したかどうかは気にしなくていいですか?成功した話をしたほうが印象がいいように思ってしまい、「本気で挑戦したエピソード」よりも「とりあえず結果が良かったエピソード」を選んでしまいそうにも思うんですが。

小林専務:成功した話に限らなくていいです。そもそも、何が成功になるかはその人の捉え方次第だと私は思っているんです。エジソンだって、たくさん試行錯誤を経験したその先に成功があったわけで。その「過程の経験」を全部「失敗」だと思う人もいるかもしれないけれど、エジソンはもしかしたら「大きな成功につながる、小さな成功」だと思っていたかもしれません。事実は一つです、でも解釈は無限です。自分が経験したことをどうプラスに捉えられるか、そっちの方が重要なんじゃないでしょうか。

――確かにエジソンが途中で「失敗した、もうやめよう」と思っていたら、その先の発明は無かったんですもんね。

小林専務:そう、だから全ては「経験」としかこちらは見ませんし、私が皆さんの経験を成功か失敗かジャッジするわけじゃありません。安心して書いてきてもらえればと思います。

――「将来の目標」の欄はいかがでしょうか。これもあまり考えすぎずに書いたらいいのでしょうか。

小林専務:そうですね。どんな目標でもいいんですよ。例えば500万の貯蓄をしたいとか、年収一千万になりたいとか、もっと大きくソフトバンクの孫さんみたいな実業家になりたいとかでもいいですし、「結婚したい」でもいいんです。結婚して安心した生活を送りたい、ではその安心した生活を送るには何をなすべきか考えてこんな風に日々を送っています、とか。うまく書けなかったとしても、それが本心の目標であれば、いざ聞かれた時に何か話せることがあるはずです。暗闇の中の一筋の光のように自分の「希望」を持っているかどうか、その光が見えているかどうかを知りたいんです。

――「何でもいいけれど、本心からの目標であること」が大事という感じですね。

小林専務:そうですね。「目標は何もない、自分はその日暮らしでいい」というタイプだと当社は居心地が悪いかもしれません。

形式的な質問はゼロ。これまでの生き方から、価値観の相性を探る面接。

――面接についてお聞きします。面接で必ず聞く質問はあるのですか?

小林専務:いや、特に決めてないですね。いろんなことを聞いていると思います。一番大事な当社の理念や思いに共感していただいているかどうか、それをいろんな角度から探っているような感じです。

――理念への共感について、たとえば「三方良しを実現するために、あなたは何をなすべきだと思いますか?」みたいな質問もしていますか?

小林専務:そこまでの質問はしていません(笑)。あくまでも、その方の経験してきたことや考え方を聞いております。簡単な例ではありますが、「自分の住まいはどこでもいい、どこでも生きていけるし」というタイプの方だと、そもそもご自身が「良質な住環境」を求めていないので、仕事をしてもお客様に上手にご提案できないんじゃないのかな、とは思います。

――確かに、いくら行動的で挑戦を好む方だったとしても、そういうことなら他の会社でいいのではとなってしまいますもんね。

小林専務:そうなんです。そのサービスを本気で好きじゃないと、いいサービスや商品を提供できないでしょう。サービスをどれだけ自分に落とし込んで、自分の中に軸を持ってご紹介できているか。そこについて、軽く掴んでいる程度なら、お客様には絶対響きません。これは営業スタッフに限らず言えることで、建物管理の仕事でも、「お客様にはもっと良い環境に住んでいただきたい」という気持ちがないと、いい仕事はできないと思います。

――ちなみに、面接は基本的に実際に会って実施していますか?それとも、最初から最後までオンライン面接で採用に至るようなケースもあるのでしょうか。

小林専務:過去に一度だけオンライン面接のみで採用まで至ったこともあります。ただそれは、外国人の方で、かなり遠方にいらっしゃったのでそういう対応をさせていただいたに過ぎず、通常は全員お会いして面接をしております。できるだけ空間を共有して、雰囲気を互いに感じ取りながらお話しした方が、双方にとってミスマッチ防止につなげられるのではないかと思っています。

仕事は人生を楽しむ舞台!自分の原動力を持ち、恐れず行動してみよう。

――これから面接に挑む方に向けて、専務からメッセージをお願いできますか。

小林専務:「人生を一緒に楽しもう」、ただそれだけです!仕事ってただ単に他の何か(お金など)を得るための手段だと思っている人もいらっしゃるかもしれませんが、仕事というものはたくさんの時間を費やし他人と共有する場でもありますので、せっかくなら一緒に楽しもう!というのがメッセージです。

――楽しむ、というのも色々あると思うんですが、人間の奥深くから湧き上がる楽しみや喜び、いわば「働く原動力」があるかどうかも重要だと思います。その原動力はどうやって見つけて行ったら良いと専務は思いますか?

小林専務:うーん、ただ出社してただ接客してただ帰るだけだったら、だんだん日常が面白く無くなってくると思うんですね。お金を稼いで飲みに行ってワーっと騒いでまた仕事行く、それだけだと……。では、一度しかない人生をどういう原動力で生きるか、これはもう各人が自分自身を一度見直すしかないと思います。自分が本当に大切にしているものって何かを自分に問いかけて、深掘りして、あらわにしていくこと。「自分にとって大切なもの」が、まるで生まれたての赤ちゃんのようにあらわになっていないと、そこからの原動力なんて生まれて来ないと思います。まずはそこからですね。

――ありがとうございます。最後に、今回の企画は「採用の目線を伝えることで、応募者とのミスマッチをなくす」という目的で実施していますが、サンリーホームは「思考力派」と「行動力派」ならどっちの人材の方がマッチすると思いますか?あまりにも単純な二分かもしれませんが。

小林専務:考えるのはとても大事なことです。ただ、より成長しようと思うなら、どれだけ動けるかがその人の成長や人生の豊かさにつながってくると思うので、どちらか一つを選ぶなら行動力派です。行動に勝るものはないとすら思います。決して、「考える」という行為を軽んじるわけではありません。ただ、綿密に調べて長時間かけて企画書を作っても、相手に訴えかけるというアクションを起こさないと何も生まれませんし、逆に情熱を伝えるだけでその熱量にびっくりされて「O K!もう企画書はいらないよ」と言われることもあったりします。そういう意味で、「相手に対するアクションの取り方」が上手な人ほど伸びていくだろうし、会社としてもそういう人を上に引っ張っていきたいと思っています。